新信託法の活用法 その3
※以下の記事はJIMOT掲載記事の転載です。
「自分の財産を誰に承継させるか?」 従来は「遺言」によって「相続分の指定」や「分割の指定(禁止含む)」、「遺贈」等を行うことで、誰に何をどれだけ残すか決めてきました。 しかし、遺言では「家祖伝来の土地は長男へ、長男亡き後はその息子へ、その後は・・・」と云うように何代も先まで相続人を指定することはできません。
新信託法では、受益者が死亡するとその受益者の受益権が消滅し、他のものが新たに受益権を得て受益者になる、そのような設定が可能な信託が創設されました。 これが後継ぎ遺贈型の「受益者連続信託」です。この制度を用いれば、複数の受益者が順番に受益権を得ることができます。例えば、以下のような活用法が考えられます。
・土地や家(不動産)を子孫に残したい Dさん(70)は自分の死後、自己名義の土地とそこに建つ自宅を妻に残そうと思っています。妻の死後は長男に、その後は長男の子にと、着実に財産が承継されることが望みです。しかし、単純にその旨を遺言書に書いても、それは無効だと法律相談で指摘されました。ではどうすればいいのか?Dさんは、遺言信託で後継ぎ遺贈型の受益者連続型信託を設定すれば、希望通りの財産承継が可能ですよと教えられ、検討してみる事にしました。
このケースでは、「Dの死後はその妻(第一次受益者)に、妻の死後は子(第二次受益者)に、子が死んだら孫(第三次受益者)を受益者とする」と言う設定で信託契約が結ばれます。信託は設定年限が30年となっていますが、受益者連続型信託では特例として、「30年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。」(新信託法91条)こととされ、30年経過した時点における受益者(例えば孫)の子供(ひ孫)の死亡時まで、信託が存続します。(但し、信託設定後30年時で出生しているものに限ります)
従来、遺言によっては子や孫の代まで遺産承継を規定することはできませんでしたが、受益者連続型信託を設定すればそれが可能になります。遺言信託のほか、生前信託や遺言代用信託でも設定可能です。
次回は日本における「ペット信託」の可能性について検討します。 |
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