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凡人として生きるということ

『凡人として生きるということ』

著者 押井守

幻冬舎新書 ISBN978-4-344-98089-1 ¥760+税

 凡人として生きるということ、と言うタイトルの本を読んだ。著者は著名なアニメーション演出家である押井守氏である。

 目次を開くと、「はじめに」という導入部に続いて、「第一章 オヤジ論ーオヤジになることは愉しい」、「第二章 自由論ー不自由は愉しい」、「第三章 勝敗論ー「勝負」は諦めたときに負けが決まる」、「第四章 セックスと文明論ー性欲が強い人は子育てがうまい」、「第五章 コミュニケーション論ー引きこもってもいいじゃないか」、「第六章 オタク論ーアキハバラが経済を動かす」、「第七章 格差論ーいい加減に生きよう」の全七章、最後に「あとがき 今こそ言葉が大切な時」という構成になっている。

 ここで本書の内容を詳しく述べるつもりはない。ただ、本来映像作家である押井氏が、活字媒体で何事かを語らんとした、その動機について述べてみたい。

 昨今、理解に苦しむ奇怪な事件が世上を震撼させている。何かあるたびにコメントを求められる社会評論家や批評家達からは、事態の核心に迫り、それを炙り出すような鋭い解説はいっかな得られない。ワイドショーに出演するコメンテーターは、通り一辺倒なコメントを述べるばかりで、議論が全くかみ合わない。なぜこうも空疎な言説ばかりが垂れ流されるのか、詰る所それはあまりに「言葉」が蔑にされているからではないのか?「オタク」「引きこもり」「自由」「格差」、それぞれの言葉の意味、「定義」がきちんと了解されない状態で、てんでんばらばらに意見を出すから、意味のある論議ができない。著者はアニメーションの演出家であり、過去、テレビアニメやOVA、劇場映画作品を多数世に送り出してきた。アニメの送り手として、事件の度にアニメやゲーム、マンガと言った「オタク文化」(この定義もいい加減だ)に安易に原因を求める批評家諸氏の態度、その、あまりに言葉を粗末に扱う姿に合点がいかなかったのであろう。氏が普段映像の中で描き切れなかったこと、語りきれなかった「言葉」を活字媒体を通して伝えたい。それが本書をものす動機だったと思われる。

 本書は大変読みやすく、それでいて内容は結構深い。何より読んでいて「面白い」本です。興味のある方は、是非ご一読下さい。

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