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侵略戦争とは

 ニュースによると、現職の航空自衛隊幕僚長だった田母神と言う人物が懸賞に投稿した論文がもとで、幕僚長を解任されたと言う。

 ところで、戦争は必ず当事国(勢力)の一方が、「戦争計画」に従って、相手国(勢力)に第一撃を放つことによって始まる。国境付近での小競り合いがエスカレートして大戦争になることはない。(小競り合いを演出すること自体が作戦計画に組み込まれてる場合は別)

 侵略戦争を判定する基準は、1927年8月27日に締結された『パリ条約』(Pact of Paris)である。同条約は戦争の放棄を唱っているが、具体的には同条約批准国が「第一撃」を放つことを禁じている条約と言える。裏を返せば、同条約批准以降、戦争の第一撃を放った国が「侵略者」である。(日本は、昭和4年7月24日、同条約を批准している)

 では、上記の考えを日中戦争に当て嵌めてみよう。日中戦争は周知の通り昭和12年8月13日、日本海軍が上海租界に駐留させていた上海特別陸戦隊、及び在留邦人に対し、蒋介石率いる中国国民党軍が攻撃を開始したときに始まる。それ以前の日中間の軍事衝突が、いずれも現地部隊間の小競り合いであったのに対し、この時の国府軍は明確な作戦計画に従って、第一撃を放ったものである。故に、日中戦争は中国国民党政府による侵略戦争であった。

 一方、太平洋戦争はどうか。この場合、第一撃を放ったのは日本である。日本は作戦計画に従って機動部隊をハワイへ、また南方に陸軍部隊を送り、昭和16年12月8日、米英両国に対し先制の第一撃を放った。すなわち、太平洋戦争とは、日本による侵略戦争に他ならない。戦後、東京裁判で問われた「平和に対する罪」とは、日本によるパリ条約違反を咎めるものであった。

 それにしても、陛下の御名御璽を戴いて締結・批准した国際条約を、真珠湾攻撃の為に簡単に反故にして見せた海軍と、それを止められない政府の責任は、大いに責められてしかるべきだろう。

 田母神氏の主張は、日中戦争に関しては正解だが、太平洋戦争に関しては誤りである。

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