書名 国債を刷れ!「国の借金は税金で返せ」のウソ
著者 廣宮孝信
出版 彩図社 定価1,524円+消費税
ISBN978-4-88392-678-7
本日、上記の著書を読了した。大変興味深い内容だった。
本書は、巷間マスコミ等で報道される日本経済に関する7つのウソを指摘し、日本経済が抱える真の問題を指摘して、その処方箋を提示している。7つのウソとは以下のとおり。
・「日本は格差の小さい国」というウソ
・「日本の公務員数は多い」というウソ
・「歳出削減すれば財政は健全化」というウソ
・「銀行への公的資金注入は国民負担」というウソ
・「国債をすれば財政悪化」というウソ
・「お札をすれば悪性インフレ」というウソ
・「国が借金で大変」という大ウソ
個々の詳しい解説は実際に本書を手にとって確認して頂きたい。ただ、最後の「国が借金で大変」という大ウソに関しては、ちょっと説明しておきたい。
まず、一般家庭における借金と国家の借金は同じレベルで論評できないと言うことを押えておく必要がある。家計と国家財政は違うのである。家計において借金があれば、返済に注力せざるを得ないが、国の借金に関してはそうでもない。家庭と国家の違いは、国家は紙幣を自前で印刷できる通貨発行権がある(実際は中央銀行が発行する)が、家庭でにはそんな権限はないことである。国家は必要なら自分で紙幣を用意できるのだ。
更に、日本政府の借金はほとんど円建であり、外国通貨建では無い。国家財政が破綻したとされる諸外国、例えばアルゼンチンの場合、破綻の原因は「公的対外債務」の支払停止(不能)である。つまり、ドル建の借金が焦げ付いたことが原因である。アルゼンチンは自国通貨であるペソを発行出来ても、米ドルを発行することは出来ない。決済に必要なドルを確保できなければ、ドル建債務を返済できないのだ。しかし、日本の場合、円建債務がほとんどであり、必要なら紙幣(円)を増刷して対応できるのである。
そして、国が借金する相手は民間、つまり自国民や内国法人が主体である。つまり、国の借金とはほぼ同時に国民や内国法人の資産なのである。「誰かの借金は必ず他の誰かの資産」なのである。
日本にとって真に問題なのは、「借金が多い事」ではなく、「金が無いと」思いこんで政府支出を抑制した結果、GDPが伸び悩んでいることである。重要なのはバランスシートを見て「負債を減らせ!」と釈迦力になって歳出を削るのではなく、フローであるGDPを増やす施策をこそ断行すべきなのである。ではその具体的な処方は何か、詳しくは本書を手にとって確認してください。
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