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『民法900条四号ただし書き前段を準用する同法1044条が憲法14条1項に違反しないとされた事例』 判例時報:平25・9・1号(№2190)53~66頁

 『判例時報』の9月1日号に標題の記事が掲載されていた。原告Xは嫡出子ではない男性で、被相続人である父亡Aが遺した公正証書遺言によって、被相続人名義の不動産等を相続した亡Aの法律上の配偶者である妻Y1及び亡A及びY1の嫡出子である次女Y2他を相手取って、遺留分の減殺を主張した事件である。その際、遺留分の算定に関し、民法900条四号ただし書き前段(以下、本件規定と表記す)を準用する民法1044条(代襲相続及び相続分の規定の準用)が法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反するか否かが争点の一つとなった。判決は遺留分減殺請求そのものは認めたものの、遺留分の算定については、従来の判例(最大決 平7・7・5)を踏襲し、民法900条四号ただし書き前段を「合憲」と判断しました。

遺留分減殺請求事件 東京地裁、平二二(ワ)42530号 平25.3.15 民四三部判決 一部認容、一部棄却(控訴)

 判決は今年3月15日に出たもので、この時点では本件規定は合憲と判断されました。現在控訴中の模様ですが、9月4日に出た最高裁大法廷の決定の影響を受ける可能性大です。
 本件規定を合憲と判断した事由につき、民法は739条1項において「婚姻は戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」として事実婚を排して法律婚主義を採用し、かつ、同法732条において重婚を禁止することで一夫一婦制を採用している点を指摘した上で、以下のように判示しています。

 「本件規定は、嫡出子の立場の尊重とともに非嫡出子の立場を配慮して、非嫡出子に嫡出子のニ分の一の法定相続分を認める事により、非嫡出子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と非嫡出子保護の調整を図ったものと解される。
 現行法は法律婚主義を採用しているのであるから、本件規定の立法理由にも合理的な理由があるというべきであり、本件規定が非嫡出子の法定相続分を嫡出子のニ分の一としたことが、上記立法理由との関連において著しく不合理であり、立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできないのであって、本件規定は合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するものとは言えない。」(『判例時報』9月1日号 59頁より一部抜粋)

 この事件、詳しい経緯を調べると、相当ドロドロしたものが背景にあったことが分かります。
 まず、原告XをAの子と認知させる件につき、Aがそれに抵抗して最高裁まで争ったという経緯がありました。
 XもAに対し、住居入り口での座り込み等の妨害行為を行っており、それに対してXの妨害行為等を中止させる仮処分の申し立てがA側から出され、最終的には両者間で一応和解が成立しています。
 しかし、Aは公正証書遺言においてXを推定相続人から排除しようしており、両者間にはなおも相当な確執があったことがうかがえます。不謹慎な物言いで恐縮ですが、一歩間違えば横溝正史的事件が発生していたかもしれません。
 ただでさえ揉め易い相続を血みどろの「争族」にしないためにはどうすればいいのでしょうか?一つは遺言で可能な限り公平な遺産の配分を決めておくこと。そして、法律上の婚姻関係にある配偶者以外とのいかなる性関係ももたないことですね。

 

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