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江東区のバグダッド・カフェ(『孤独のグルメ season4』 第十話 江東区枝川)

 江東区枝川、倉庫と物流拠点の町。愛車BMWを走らす五郎さん、その15分前に、急に依頼が入ったのである。相手の藤田(入江崇史)から「ブルゴーニュ型ワイングラス20個、二時間以内」という無茶な注文。確か倉庫に在庫があったはずと、貸倉庫までやってきたのである。倉庫を管理してる川本さん(笹野高史)にシャッターを開けてもらうと中は蒸し風呂状態!しかも、倉庫内の整理がなってないのか、目当てのグラスを入れた段ボールがすぐに見つからない。いくつも箱を開けてようやくグラスを発見、しかし周囲は箱だらけ。「こりゃいちど倉庫整理しないといけないな」と思い、倉庫のカギを借りたまま納品へ向かう。タイムリミット5分前、どうにか納品に成功した。で、その帰りにふと窓から目に入ったのが、食事&Coffee レストランアトムという店。「あんな飯屋あったっけ?」と、心惹かれつつ倉庫へ戻った五郎さん、張り切って中の整理を始めます。中を検めた段ボール箱にもう一度ガムテープで封をし、棚に仕舞う。重そうな木箱を持ち上げようとして、急に脇に痛みが!危ない危ない、依然これで肋骨を痛めたのだ。また入院はこりごりである。そこへ、川本さんがスイカを切って持ってきてくれた。ありがたい差し入れである。手を洗い、塩かけていただく。うん、美味い!暑いときには最高である。そのあと川本さんと世間話、川本さん曰く「ぼちぼちやるのがいい」。一服ついてまた作業を再開したが、なんだか腹が減ってきた!さっきの店に偵察だと、箒もタオルも放り出してレストランへ向かう。やって来たレストランアトム、何とも言えぬ佇まいである。アトムって名前も面白い、ひと癖ありそうな店である。中に入ると、もろ昭和の大衆食堂。店主(プロレスラーの藤原喜明、藤原組長!)が「ハイ、いらっしゃいませ」と低い声でお出迎え。長テーブルにパイプ椅子、ぶっきらぼうさの中に、得体のしれない美学が感じられる。先客はトラックの運ちゃんが二人、チキンガーリック焼き定食を食っている。どう向き合えばいいのか、難しい店である。壁のメニューを見てみると、スープに始まって魚料理に肉料理と、ここまではレストランのコース風の品ぞろえ。と、スパッゲティの部にコスモポリタン(750)と言う謎メニュー発見!コスモポリタン、なんじゃそりゃ?と、今度は急に片目を手でふさいで「下、右、右斜め上、下、わかりません」。メニュー票の横に視力検査票が貼ってあるのだ。「視力落ちたか」と目のあたりを揉んでると、タクシードライバー風の客がやってきて酢豚(日替わり定食)を注文している。他のメニューを見てみると小づけ(160円)で奴豆腐酢の物がラインナップされている。そこから二品ぐらい頼もうかと思案していると、別のタクシードライバー風の客が来て、シーフードかき揚げを注文、そのまま自分でコップに水を注ぎ、席に着く。それが常連の基本ルートらしい。感心しつつ別のメニューを見ると、鍋焼きうどんシーフードリゾットが写真付きで紹介されている。と、反対側にはうどんやそばまで!アトム、つかみどころがない相手。でも、油断はできんぞ。と、また一人客が来てシーフードリゾットを注文してる。この店、ドライバーたちの水場、タクシー運転手のオアシス。悩んでばかりもいられない、意を決して、ハムエッグカツ皿とごはん、奴豆腐ホウレン草のお浸しを注文する。先客のトラック運ちゃん二人がお会計を済ませた後、テーブルを片付けた主人が急に店の外へ出ていった。どうするのかと思ったら、裏口から厨房へ入ってきた。なんとこの店、ホールからキッチンへ入る道がないのである!そのため、いったん外へ出て、裏口から入る必要があるのだ。店主の迫力は、今にもヒンズースクワットが始まりそう。意味不明の魅力があるぞ、レストランアトム!と、言ってる間にも先客のタクシードライバーが注文したシーフードかき揚げとシーフードリゾットが完成し、運ばれてくる。シーフードリゾットは鉄鍋に入っていて、イタリア感ゼロ!どう見てもおじやである。そうこうするうちに、五郎さんお待ちかねのハムエッグとカツ皿登場!この景色、いい!質実剛健、しかし、どこか優しい色味。さっそく「いただきます!」。味噌汁はシジミ入り、ハムエッグは黄身がプルプル。黄身の真ん中に穴をあけ、醤油を垂らしてパクリ。うん、半熟卵ごはん、最高。ああ、忘れていた小さな幸せ。奴豆腐はいとおしい味。おひたし、ばあちゃんを思い出す。と、さらに客二人、一人はコスモポリタン、もう一人は(焼き魚定食)を注文している。店主と客の会話を聞き流しつつ、今度はカツ皿に挑戦する。このカツ皿、かつ丼の台抜きである。出汁にひたひたなのがいい。汗を流して飯が美味い。男の基本だ。と、気になってた例のコスモポリタンが注文した客のところに運ばれてきた。見ればケチャップがかかっていないナポリタンのようである。五郎曰く、世界主義という名の無政府状態スパゲティ・・・どうなってんの?!あれ。コスモポリタンに驚かされたが、こちらはここから本番。男の飯のど真ん中を突き抜けよう!カツ皿をどんぶり飯にかけ、かっ込む!がつがつかっ込む!こじゃれたレストランで、気取った料理をチマチマ食ったて、力なんて出るもんか。こういう店でこんな飯をモリモリ食ってこそ、働く男の力が湧いてくるんだ。他の男たちもモクモク食べ続ける中、最後の黄身に醤油を垂らし、ペロリと完食!アトム堪能、10万馬力装填!「ごちそうさま」。最後にレモンスカッシュを注文したら、店主が低い声で「レスカ、ワン!」。思わずかっこいいと思う五郎さん。何年ぶりかのレモンスカッシュ、ここだけはレストラン風。ふうと一息つく五郎さん。他の客の中には、100円でリーチ麻雀ゲームを楽しむ者もいる。のんびりした時間が流れていたところ、「電車が止まった」という情報が入る。とたんにお会計に走るドライバーたち、稼ぎ時到来である。ドライバーたちを見送る五郎さん、こちらは余裕で煙草を一本。すっかりくつろいだ五郎さん、レストランアトム、歴史的大発見であった。新たな手ごまが増えて思わず「ウッシッシ」。不気味に笑うと、倉庫の後かたずけに戻るのだった。

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