『戰爭抛棄ニ関スル条約』(ケロッグ・ブリアン条約)とマック偽憲法第9条。
第一次大戦(大正三年~七年)は、戦死者992万人、戦傷者2122万人、行方不明者775万人というかってない惨禍を人類史に刻み込んだ。戦後、生き残った人々は再び世界大戦が起ることを防ぐために知恵を絞った。国際連盟(League of Nations)はその一例だが、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する「条約」を結ぶことで、世界大戦を未然に防ごうというアイデアも生まれた。
この「戦争放棄に関する条約」は、主導したケロッグ米国務長官とブリアン仏外相の名をとって『ケロッグ・ブリアン条約』(Kellogg-Briand Pact)または『パリ不戦条約』と呼ばれる。同条約は昭和三年に米英独仏伊日を含む15か国で調印され、その後ソヴィエト連邦なども順次調印し、最終的に78か国が調印または批准した。条約締結国同士で国際紛争を解決する手段としての戦争(自衛戦争は除く)の放棄を約束した同条約は、当時のすべての大国が調印したことにより、国際間の平和を担保できるものと期待されました。しかし、実際には第二次大戦の勃発は防げませんでした。国際条約は、大国が遵守しなければ誰も守らないのです。
残念ながら第二次大戦は防げなかったものの、ケロッグ・ブリアン条約に謳われた戦争放棄の考えは、多くの国の憲法に「不戦条項」(または「平和条項」)として採用されている。世界中の明文憲法百八十八か国中、実に百五十八か国がそれを含むという(西修・駒沢大名誉教授の研究より)。我が国の現行憲法(1946マック偽憲法)も、第9条にそれを含んでいる。そのせいだろうか、誰が言いだしたか知らないが現行憲法を「平和憲法」と称するむきがある。しかし、考えてみてほしい。締結国同士を拘束するはずのケロッグ・ブリアン条約は、結局第二次大戦を防ぐことができなかった。一方、憲法は基本的にその国の施政権の及ぶ範囲のみ有効である。当然のことながら、他国の政治指導者や軍隊の司令官の意思決定には何の影響力も与えない。ましてや、国際テロ組織がそんなものを尊重するだろうか?つまるところ、憲法第9条を護ったところで、それが日本国の国防に寄与するという保証はどこにもないのである。
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