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たった四杯で夜も眠れず

 帆船は風を帆に受けて推進する。急激な後進はできない。
 一方、蒸気船は動力推進のため、自由に前進後退が可能である。ここが帆船との決定的な差!
 詳しい航路図や湾内の測量図がない初見の港湾に侵入しても、帆船では未知の暗礁に気付いても後進が効かないため回避は困難。しかし、蒸気船には高い機動力があり、回避の可能性は帆船よりは高い(あくまで、帆船と比較すればの話だが)。
 海外情報にある程度通じていた知識人や豪商等の高級町人にも、それは既知であった。江戸湾へ蒸気船の侵入を許せば、湾内の制水権は相手に抑えられてしまうことが、幕閣だけでなく町人たちにも知られていたのである。だから、大騒ぎになった。
 さらに言えば、当時百万都市だった江戸では、必要な物資は海上輸送に頼るよりなく、陸路からの搬入のみでは人口を支えることは不可能だった。江戸湾を抑えられれば、全く死命を制されてしまうのだ。米問屋など、流通に関わる町人たちも、それは骨身にしみていた。
 しかし、町人たちもただ大騒ぎしていただけではない。幕府にユニークな海防策を献策する者もいたという。玄人の芸者衆を黒船に送り込み、酒色でもてなして骨抜きにしたところで、料理人として一緒に乗り込んだやっちゃ場の若い衆が乱入して、出刃包丁でメリケンどもを膾切りにしようというもの。実行はされなかったが、後年薩英戦争で薩摩藩が似たような作戦(爆弾をスイカに偽装して、英国艦に売りつけ爆破しようとした)を実行して不首尾に終わった事を考えると、失敗した公算が高い。

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